君に秘密の恋
話があると言ったのは、健一の方だったのに…


彼はさっきから黙ったままで、話が切り出される事は無かった。


「あのさ、話って……?」


痺れを切らして控えめに訊くと、健一がバツの悪そうな表情になった。


「昨日は……悪かったな……。まぁ、その……いつもの癖って言うか……」


そう言った彼は、あたしの目も見ずにそっぽを向いている。


……まさか、それで謝ってるつもりなの?


そう思いつつも、ほんの少しだけ心がくすぐったくなっていた。


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