君に秘密の恋
「別に、女じゃねぇとは言ってねぇだろ?」


「言ったっ!!」


「言ってねぇっ!!」


「あんなの、言ったも同然じゃないっ!!」


まくし立てるように言うと、健一はため息をついた。


「マジで可愛くねぇ……」


彼の一言で、胸の奥がズキッと痛んだ。


いつも通りの言葉なのに今日はやけに痛くて、聞き慣れているハズの言葉が胸を刺す。


「……っ、煩い……」


唇を噛み締めていたあたしは、蚊の鳴くような声で小さく呟いた。


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