君に秘密の恋
「あっ、千晶!」


あたしを見た健二が、ニカッと笑った。


「おかえり」


「ただいま!」


「さっさと手洗っといで」


「へーい!」


健二はボールをベランダに置くと、洗面所に走って行った。


その間にテレビの下にある棚から、救急箱を取り出す。


きちんと管理された救急箱は、看護師をしている健一の母親の性格が全面に出ている。


きっと、あちこちに傷を作って帰って来る健二の為に、救急箱の中を頻繁にチェックしているんだろう。


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