‐君の隣で‐
「帰る所ないんだろ?ほら、行くぞ」
仁さんは、私の荷物を軽々しく持ってすたすたと歩いてしまった。
「なんで?」
「ん?」
「なんでそんな優しくしてくれるの?」
「えっ?普通だろ」
「だって初対面だよ?私がどんな人かも知らないのに、よく平気で自分の家に入れようとするよね」
「…」
「軽いね」
私は酷いことを言ってるように思う、けど本当のことなのでは?
初対面…いや、顔も知らず、話しただけなのに家出と知って、自分の家に誘うか?
普通、誘わないよね。
「初対面…か」
「?」
「まぁ、いい。とにかく俺はそういう人なんだ。来いよ」
私は仁さんに従った。
自分の身は自分で守る。
大丈夫、私なら出来る。