‐君の隣で‐



「帰る所ないんだろ?ほら、行くぞ」



仁さんは、私の荷物を軽々しく持ってすたすたと歩いてしまった。



「なんで?」



「ん?」



「なんでそんな優しくしてくれるの?」



「えっ?普通だろ」



「だって初対面だよ?私がどんな人かも知らないのに、よく平気で自分の家に入れようとするよね」



「…」



「軽いね」



私は酷いことを言ってるように思う、けど本当のことなのでは?



初対面…いや、顔も知らず、話しただけなのに家出と知って、自分の家に誘うか?



普通、誘わないよね。



「初対面…か」



「?」



「まぁ、いい。とにかく俺はそういう人なんだ。来いよ」



私は仁さんに従った。



自分の身は自分で守る。



大丈夫、私なら出来る。








< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop