静寂なる雑踏の中で
「うっひゃ〜、何か居そうだなー。」
ユキが薄暗い路地を覗いて言った。
「見てくるか?」
ヤクモが訊く。
しかし、ユキは拒否した。
「アタシはまだ、死にたくない!!」
・・・・だそうだ。
「じゃあさ、ヤクモ。
俺が行っていい?」
ヤクモは少し考えて許可してくれた。
「気をつけてね。
無理しちゃ駄目よ。」
俺は路地の中に入った。
・・・・思ったより暗くて見にくいな・・・・。
「こりゃ、何か居そうだな。」
と言ったそばから、むにゅっぐちゃっみたいな、何とも言えない感触の物を踏んでしまう。
「うおっ!?」
足元を見ると、黒くてでろっとした物と青い仮面が靴の下で蠢いて居た。
「うわっ!?」
ソレは俺の靴の下から逃れようと、もがいていた。
気味が悪くなり、靴を退かすと、ソレは仕返しだ と言わんばかりに襲い掛かって来た。
「うえっ・・・・・ちょっ、・・・・皆、逃げろぉ!!本部に・・・・・っ!!速く!」
必死で走りながら叫ぶ。
「イッキ!」
ヤクモとアリスの声が聞こえる。
ヤクモは、アリスとユキを連れて逃げ、シドが迎えに来てくれた。
「速ク・・・・乗レ。」
シドがおんぶしてくれた。
「有難う・・・・。」
そして、そのまま本部迄、乗せて行ってくれた。