王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
程よく酒を酌み交わし、酒場の二階に借りた部屋へ移動した。
ドルメックのペースに合わせて飲んでいたニッツーは足元がおぼつかない。
少し力を込めれば折れてしまいそうな細腰を引き寄せ、支えてやる。
「大丈夫か?」
「ふふ…ん。だぁいじょぉぶよ。
…ありがと…」
酒で火照った身体をしなだれてきた。
ベットに座らせ、水を手渡してやる。
「……ね?アナタって、どこの部族の人なの?」
渡された水を飲み干し、ドルメックを見据えるニッツー。
ベットに座るニッツーの柔らかい髪に手を埋め、顔を近付ける。
「飲んでる時にも言ったが、俺を詮索するな…。
どうしても知りたいなら、アナタの年齢を教えてくれたら考えるよ?」
「…女性の年齢を聞くなんて、卑怯ね〜」
ニヤリと笑うドルメックに拗ねたようにニッツーが唇を尖らす。
「それ位…いや、それ以上にデリケートな事情があるんだよ…」
そう微笑むドルメックの色違いの瞳には、思わず息を飲む程の孤独感が見て取れた。
鼻先が触れるか触れないかの距離。
ニッツーはドルメックの右目にかかる髪を左手でかき上げた。
「右目の色、変わってるのね。
凄く澄んでて綺麗な瞳なのに、何で隠してるの…?」
「……もう、それ以上喋るなよ…」
低く、掠れた声で囁くとニッツーの柔かな唇を塞ぐ。
そのままベットに押し倒し、暫く振りに味わう快楽に溺れた。