王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
城門に辿り着くと、二人の衛兵が待ち構えていた。
持っていた槍を交差させ、お決まりであろう台詞を口にする。
『ここは国王陛下の住まう居城である!
一般市民を通す訳にはゆかぬ。
即刻立ち去れ!』
ドルメックは思わず考え込む。
(なんか、前にもこんなことあったな。…デジャヴ?)
マジマジと衛兵の顔を見ると、見覚えがあった。
王都へ続く街道を封鎖していた若い衛兵である。
ドルメックのことを覚えていないらしい。
何とも使い物にならない連中で溜息が漏れる。
わざとらしく、話し掛けてやった。
「よお、今度は居城の見張りか?
良かったな。ここなら街道と違ってドラゴンの恐怖に怯えることも無いだろ?」
意地の悪い笑みを浮かべるドルメックを数秒凝視する衛兵二人。
ハッとした顔になり、頭を下げてきた。
『討伐部隊の方ですね!
大変申し訳ございません!』
「今回はちゃんと招待状も持ってる。
サッサと取り次いでくれないか?」
追い討ちをかけるように畳み込む。
慌てて取り次ぎに行く様を冷めた視線で見送った。