王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
少年は今まで絡んでいた視線を解き、目を伏せて呟くように言った。
「……古文学書です」
(嘘では無いが正しくも無い…。
…といった所かな……)
少年の態度から、深入りして欲しく無いのが良く分かる。
自身もその気持ちが分かるドルメックは、追及を止めることにした。
「へぇ、……古文学書」
罰の悪そうな表情でこちらを伺う少年。
「まぁ、いい。
俺も、余り人に踏み込まれたく無い人種の人間だ。
話したくないことを、無理に聞き出すつもりは無い」
未だ、沈黙を続ける少年。
少々苛め過ぎてしまっただろうか?
「不快にさせたのなら、謝る」
「……いぇ」
首を横に振る。
少しだけ、少年に笑顔が戻る。
そんな彼に、聞きたいことがもう一つ。
「君は、どこまで俺の素性に気付いている?」
明らかに、試す様な質問。
少年は挑む様に、その問いに応えた。
「…ルビーの核石ですよね?
その赤い右目は…」
敢えて何も言わず、先を促す。
これだけでは、無い筈だ。
「アナタ、ここに来る途中その“力”を使ったでしょう?」
「!?」
そんなことを言い当てられるとは、思っていなかった。
流石に、驚きは隠せなかった。