王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
思わず、笑ってしまった。
それに気付き仏頂面を向けるテイシン。
「何笑ってんだよっ!」
苦笑混じりに、答える。
「分かり易いと思って…。
ふふ、からかって悪かったよ。
でも、紹介するあんたも悪いだろ?」
ドルメックの返答に、狼狽して手と首を激しく横に振った。
「!…ななな、なんだ、分かり易いって!?
俺は別にだなっ…」
「安心しなよ。
俺は同じ相手と二度寝る気は無いから。
こんなこと、彼女に言ったら怒られそうだけどな?」
そう言ってテイシンに笑い掛ける。
ドルメックの言葉に、多少落ち着きを取り戻したテイシンが聞く。
「…え?何で?」
目を伏せ、肩を竦める。
「情が移るから。
後は責任が取れないから、かな?
俺には既に、命を掛けるものがあるから、これ以上の責は負えない。
執着してしまうものは、俺には在ってはいけないんだ」
少し寂しげな笑みが浮かんだ。
「…で、でもよぉ」
「なんだ?
それとも、責任も取れないのに、ニッツーをかっ拐って行ってもいいのか?」
躊躇いがちに掛けられた声に追い討ち。
また妙な表情を作るテイシンの肩を、すれ違い様に叩く。
「冗談だって!
ここの雰囲気、苦手だから外に出てくるよ」
ドルメックは、賑わう大広間を後にした。