王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
思わぬ再会と突き付けられた己の在り方【流浪の民】
城の外に出たドルメック。
柔らかい月光が注がれていた。
足元に落ちる濃い影に、まるで自分みたいだ…などと自嘲気味に考える。
気が付くと、目の前から人影が見えた。
今夜の月の光りをそのまま吸い込んだ様な、金色の髪。
こちらを気にする風でもなく、歩いて来る。
(…見た感じ、討伐部隊のメンバーか…。
ま、俺には関係無いな…)
そのまま素通りしようとすれ違う瞬間…。
―――ドクンッ。
懐かしい、この拍動は…!
考えるよりも先に、身体が動いていた。
相手の手を掴む。
「っ待てよ!」
「ん…?」
気持ちが、焦る。
思わず睨み付けていた。
「お前…核石を持っているな?」
「核石…?」
意味が分からない様で、エメラルドグリーンの瞳がドルメックを見上げる。
話が上手く伝わらず、苛立ちが増していく。
「しらばっくれくな…。
そこに入ってる核石だよっ!」
青年の腰に下がる、革袋を指差す。
確かに、そこから仲間の拍動を感じるのだ。
間違いじゃなければこの拍動は……。
「!ああ…」
やっと合点がいったという様に、革袋を探る。
中から、青年の瞳の色と同じエメラルドの宝石を取り出した。
(…!やっぱりっ…)
ドルメックは核石に手を伸ばす。
「っ返せ!」