王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
闇の破壊者と以外な繋がり【月灯の民】
あのまま宿舎に帰る気にもなれず、城の敷地内をブラブラとしていたドルメック。
城門の近くを通り掛かった時、夜中とは思えない、賑やかな声が響いてきた。
「月灯の民代表、マルティエーラ=カルディオとその一行!ドラゴン倒しに来てやったわよっ!」
幼さの残る声が、余りにも堂々と名乗り出ているのが聞こえた。
新たな戦士が辿り着いたらしい。
(…月灯の民、か)
以前、情報屋のトールが話していたのを思い出す。
妖精と共に暮らす、悲劇の民と言っていた。
物珍しさ故に狩られ、妖精と共に人身売買の対象となり滅んだとも言われていた筈だ。
(話を聞いた時は他種族ながら共感を覚えたっけな…。
…そうか、まだ存在するのか)
ドルメックが記憶を辿り思考を巡らしていると、開いた城門に現れたのは何とも賑やかな三人組。
見た感じ、どう頑張っても11、2歳位の少女二人と16、7歳位の少年一人。
思わず目を疑う。
先程の台詞は少女の声だった。
二人のどちらかが【月灯の民】なのだろう。
眺めていると、城門ギリギリでピタリと動きを止めたバンダナの少女。
残った二人が不思議そうに除き込む様子が見える。
足元を見ていたバンダナ少女は、キラキラした目を二人に向け、弾む声で言った。
「…二人ともっ!せっかくだし、いっせーので一歩目行かない?」