王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
「俺はドルメック。
討伐部隊のメンバーだ。
元々の俺の仕事は盗賊でね。
人身売買には手を出したことは無いが、魔石の類いを専門にしてる。
闇の世界に生きてれば、それなりに色々な情報が手に入るもんなんだ」
なぜ知っているのか、という質問にもついでに答えてやる。
「へぇ〜っ。私達って結構有名人なんだねっ、エナ♪
あっ私、マルティエーラ!長いのキライなんでマルタでよろしくっ!」
親指を立てて、ビシッと前に付き出す。
「エナ=アロンダート。妖精よ」
マルタに習い、対になるように親指を立てて付き出した。
…無表情のままで。
「おいっ!よろしくっ!じゃぁ無くて!
盗賊なんだろ?!こいつがやって無くても他の仲間がやってたらどーすんだ?!
簡単に信用すなっ!?」
その後ろから喚く、白髪少年。
苛立たしげに頭を掻きむしっている。
「うっさいなぁ〜、エナが普通に話してるんだから大丈夫でしょっ!
てか、自己紹介してないのユリだけだよ?」
「面倒だし、放っておきましょ…」
心底面倒臭そうにいったエナ。
「なんだよ、苛めかっ?名乗ればいんだろっ?!
ユリエス=ローウィッジだっ。
悪かったよ、よろしくっ!」
なんだか、ユリと呼ばれている少年が気の毒になってきた。
ここまでのやり取りだけで、振り回されてるのが良く分かる。