メモリー



力強い声に引きつけられるように、あたしは振り向く。



「俺も、笑のことめっちゃ好き。

…それだけ。じゃ。」



…ズルイ。

やっぱり隼人はズルいよ。


最後の最後に名前で呼ぶなんて。

反則だよ。


しかも、好きって…。


キュン死にしたらどうすんのさ。



『バーカ』



あたしは、見えなくなった彼の背中に向かって、小さく嘆いたのだった。









< 109 / 339 >

この作品をシェア

pagetop