メモリー
失わないために、
ちゃんと話し合おう。
キスしたこと。
受け入れるのには、時間がかかるけど、このままじゃだめだ。
ちゃんと隼人と向き合わなくっちゃ。
そう思って、あたしはもとの道を戻ろうと、走っていた足を止めた。
その時だった。
―――グラっ
視界が、大きく揺れる。
うっすらとなくなる意識のなか、あたしの心は冷静だった。
…そっか、あたし、走っちゃったんだ。
お医者さんから、あれほど言われていたのに。
――ポツン
あたしの意識があったのは、ここまでだった。