メモリー
俺はそれを聞いたとたん、その場にすわりこんだ。
…よかった。
笑は生きてるんだ。
さっきまで怖くて仕方なかった俺。
頭にあったのは
死、別れ、恐怖。
そんな言葉ばかり。
笑が俺の前からいなくなる、
そう考えると、怖くて仕方なかった。
「一応、病院で点滴を打っておきましょう。」
医者の言葉に、俺は一つ一つ頷く。
そんな俺に、医者は微かに笑ってくれた。
「…それにしても、前田さん。
いきなり倒れるなんて…何したんでしょうね。」
そう言いながら、医者は俺をチラッと見据えた。
その瞳は全てを見透かしてそうで…
俺は視線を逸らす。