メモリー
お医者さんは言いにくそうな表情をした。
しかし表情とは裏腹にきっぱりと大きな声であたしに検査結果を告げた。
「前田さんの病気はものすごい速さで悪化しています。」
お医者さんの声は耳を塞いだあたしにもしっかり聞こえた。
やっぱり、ね。
わかってたよ。
だけどやっぱり、こうして実際に聞いちゃうと辛い。
思ってたよりダメージが大きい。
お医者さんの説明はまだ続く。
「前田さんは同じ病気の患者様よりも悪化が速いんです。」