メモリー

ごまかすどころか涙はどんどん溢れてくる。


本当自分が嫌になる。


最後は笑顔でいようって決めたのに。




「笑!!」



そう呼ばれた途端、あたしたちの唇が重なった。


そっと。柔らく。たった一瞬の出来事だった。


そして唇が離れたかと思ったら、力強く抱きしめられた。


その体制のまま、そっと隼人の唇が耳もとに移動する。


そして
「笑…」

と甘く優しく嘆いた。


「…せっかくだし、キスもっとしとこっか。」


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