メモリー


あたしは、もう…、走れないんだ。


もう、あの風を感じることもできない。


グラウンドを蹴る足も、
みんなからの歓声も。


味わうことができない。



――あたしはこの時知ったんだ。


大切なものを失う時ら、どれだけ辛いか。



あたしは決心した。


もう、大切なものを作るのを止めようと。


大切なもの…を手放していこうと。



そしたら…死ぬときも辛くないはず。



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