メモリー


「あ、そんな顔しないでよ。だって死ぬのって割と怖くないんだよ。」

『……。』


「お母さんは気遣ってくれて、好き放題だし。

こうやって髪だって染めた。

だからぶっちゃけ、思い残すことなんてないし。」



…多分、前田は強がってるんだ。


だって…肩が震えてる。



…そして、俺は見たのだ。


彼女からこぼれ落ちた涙を。




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