派遣先の研修
北野森とカガミハラは、ユキの実家へ足を運んだ。
家族は引越していたため、彼女の墓がある寺に向かう。

「おや。またいらしたんですか」
「はい。ユキさんの家族の連絡先を教えていただきたいんです」

寺の住職は、二重顎をさすりながら聞いた。

「聞いてどうなさる」
「どうもしません。お話したいだけなんです」
「しかし、勝手に連絡先を教えたあっては、私の信用問題になります」
「ご迷惑はかけません」
「ふむう」

北野森を制止するように、カガミハラが言った。

「実は、ユキさんの事件を調べなおしています」
「それは、私には関係のないことですな」
「そうです。関係ありません。なので、ユキさんの御家族に事情を伺いたい」
「話したくないでしょうな」
「何故です」

住職は、一度、本堂へ入ると、小さな小箱を持ってきた。

「……これは?」
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