派遣先の研修
カガミハラは白い手袋をして、そっと小箱の蓋を開けた。

……オルゴールのようだ。

年月を経たアクセサリーが入っている。
火事の煙が、ほんの少し、残っている気がした。


「当時、これは調べましたか?」
「ああ。だが、彼女に付き合っている男はいなかったようだし、指紋の彼女のものばかりだった」

安物ばかりだな、とカガミハラ。
スーパーのバイトをしていたユキの給料で、たいしたアクセサリーは買えなかっただろう。

慎重にひとつずつ、外に出す。

その中に、二つ、多少、高価そうな指輪があった。
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