派遣先の研修
午前3時を過ぎ、住職が座布団と毛布を運んでくれた。
「少し眠らないと。張り込みが何日続くかわからないんですから」
「すみません……。ありがとうございます」

北野森は、今更ながら、自分の推理……というより、確信が、元刑事や住職を動かしていることに気

付いていた。


もし……。
もし間違っていたら……。

一抹の不安が、胸を掠める。
そのことが、北野森を無口にさせていた。

「やっかいなことに首を突っ込んだ、とは思われませんでしたか」
「……」
「心配しなさんな。何事もなければ、犯人の勝ち、もしなにか起きたら……それは北野森さんの考えが当たっていたことになります」


その時。
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