派遣先の研修
北野森は、塀に突っ込んだ車のタイクに引火した爆発に巻き込まれ、入院していた。

しかし、カガミハラと北野森が、事前に事情を説明していたため、イトウの目的が、本堂にあるユキの遺品だとわかっていた。
その説明をすると、イトウは諦めたように自供を始めた。

「ユキとは昔付き合っていたんです。しかし、妻が妊娠したため、別れてくれと言ったんですが、納得してくれませんでした」
「それで殺したんですか」
「違います。どうしても別れるというなら、死んでやる、と自分で包丁を腹に……」

取り調べた刑事たちは、よく事情を飲み込めないまま、調書を取っていた。
その様子を、カガミハラは聞いていたが、
「ちょっといいかい?」とイトウの前に座った。
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