派遣先の研修
退院後、北野森はカガミハラから、その後の捜査の様子を聞いた。
ユキの事件をもう一度調べること。
幽霊騒ぎのあとの、殺人事件との関連を調べること。
「どういうわけか、彼女の死後も殺人事件が起こっているでしょう。みんな幽霊の祟りだと言って」
「はい。それがなにか」
「幽霊が人を殺せるはずがない。おそらく、イトウが犯人ではないかと気付いた人間がいたんだ。それを問い詰められる度に殺していったらしい」
「……そんな」
「『黒いワンピースの女』の噂も、イトウのでっちあげだったと……、。そういうことです」
おそらく、イトウの刑は相当重いものになるだろう。
自業自得といえばそれまでだが。
北野森はユキの汚名が晴らせたと、ほっとした。
「派遣先で、しつこく研修に出るように言われたでしょう。それも、イトウの保身のひとつだったんですよ」
「……じゃあ、穂高はやっぱり、研修に出ていれば死なずにすんだかもしれませんね」
「ユキさんの霊が、関係ない人を呪い殺したとしてもです。一番怖いのは、生きている人間ということですね」
「しかし、北野森さん。これ以後は、派遣の仕事以外に首を突っ込まないように」
「……はい」
力なく笑いあう。
事件はいずれ、司法の手に移るだろう。
報告を兼ねて二人は、ユキの墓まで線香をあげに行った。
寺の塀は修理が始まっていた。
「火傷は大丈夫ですかな」
「はい。こちらには、本当にご迷惑をおかけしました」
「あなたは善いことをなされました。さ、冷たいお茶でも差し上げましょう」
ユキの事件をもう一度調べること。
幽霊騒ぎのあとの、殺人事件との関連を調べること。
「どういうわけか、彼女の死後も殺人事件が起こっているでしょう。みんな幽霊の祟りだと言って」
「はい。それがなにか」
「幽霊が人を殺せるはずがない。おそらく、イトウが犯人ではないかと気付いた人間がいたんだ。それを問い詰められる度に殺していったらしい」
「……そんな」
「『黒いワンピースの女』の噂も、イトウのでっちあげだったと……、。そういうことです」
おそらく、イトウの刑は相当重いものになるだろう。
自業自得といえばそれまでだが。
北野森はユキの汚名が晴らせたと、ほっとした。
「派遣先で、しつこく研修に出るように言われたでしょう。それも、イトウの保身のひとつだったんですよ」
「……じゃあ、穂高はやっぱり、研修に出ていれば死なずにすんだかもしれませんね」
「ユキさんの霊が、関係ない人を呪い殺したとしてもです。一番怖いのは、生きている人間ということですね」
「しかし、北野森さん。これ以後は、派遣の仕事以外に首を突っ込まないように」
「……はい」
力なく笑いあう。
事件はいずれ、司法の手に移るだろう。
報告を兼ねて二人は、ユキの墓まで線香をあげに行った。
寺の塀は修理が始まっていた。
「火傷は大丈夫ですかな」
「はい。こちらには、本当にご迷惑をおかけしました」
「あなたは善いことをなされました。さ、冷たいお茶でも差し上げましょう」