お隣さんの隣
先生生徒
『へぇ〜、家庭教師ねぇ』
「そうなのっ、お母さんひどくないっ?」
今は学校に着いて、きのうのことを夏樹ちゃんに話しているとこ。
『へ?嬉しいじゃん、恋愛したいんでしょ?』
「したいけどさぁ..」
私だってあの時は初心者なりに恋愛の予感を察知したよ。
でもさぁ..。
『何なの、相手が超ぶっさいくとか?』
ぶっさいくどころか...。
「イケメン。てか、どストライク」
そうなんだよ、そらもうかっちょいいんだよ。
『イケメンなのっ?
何を悩む必要があんのよっ』
イケメンと聞いて、机に身を乗り出して目をキラキラ、ていうかギラギラ光らせる夏樹ちゃん。
「だって中学生3年生だよ?」
あれが年上だったらどんなにいいか。
『は?まさかそれだけの理由で恋愛対象外とか言う?』
「うん...」
ちょっと怒ったような夏樹ちゃんの声にびびりながら小さい声で返事をする。
『馬鹿でしょあんた。
恋愛にはそんなこと関係ないの!』
そんなこと言ったって私にはありありなんだよ。
恋愛してないかわりに沢山妄想してたんだからっ。
ここまで初恋を守ってきたんだったら(守ってきたって言わないけど)、素晴らしい初恋がしたいっ。それってなんだかすごいロマンチックじゃない?
「とにかくあの子は好きにならないのっ!」
『どうかねぇ..』
うん、有り得ない有り得ない。
坂口燕君!惚れさせれるもんなら惚れさせてみなさい!