お隣さんの隣

『何から始めます？』

「う〜ん…」



教材とかもってないしなぁ…｡





と､悩んでいると恐らく男の子が私を待っている間にやっていたんであろう問題集が目に入った｡





「…ちょっと見せてね」




適当にページを開く｡





あれ…何も書いてない｡
分からなかったのかなぁ？


どれどれ…






……って私も分かんないし！





『どの問題しますか？』


私が余りにも問題集を凝視していたせいか男の子がページを覗いてきた｡




「いや､その､この問題しようと思って…｡ほら､真っ白だし分かんなかったのかなって…」





我ながら緊張しすぎだと思う…｡






『あぁ､それ簡単だったんで飛ばしただけです』


………ん？なんて？
この問題が簡単？





目を見開いて男の子を見つめる｡




『まさか…､分からなかったんですか？』





……はい､そのまさかです…｡






私の様子から肯定だと分かったんだろう､男の子は生徒の筈なのに私に説明しだした｡





『ここは仮定から考えて―――』






これじゃあ立場逆じゃん！