お隣さんの隣
日曜日の昼下がり。
外はとても麗らかな天気で、冬にしては暖かい日だった。
「うがあー!」
『なした!?』
私の奇声に驚きの声を上げる、友達の夏樹ちゃん。
「だって…。
こんなの有り得んの!?」
私が文句をつけているのは、ビデオ屋さんから借りてきた甘い甘いラブストーリー。
「私には無縁だよ…」
『分かったっ、羨ましいんでしょ?』
「う、羨ましくなんかっ」
…ないわけないだろー!
夏樹ちゃんは彼氏がいるから分かんないんだよ。
この切なさが。
そして映画の中では今人気のイケメン俳優が甘い言葉を、甘い声で、甘い仕草で、甘い表情で囁いていた。
熱々ラブシーン真っ只中。
『良いとこじゃんっ』
夏樹ちゃんは目線を私からテレビに素早く移した。
そんな夏樹ちゃんを見て私も羨ましすぎるラブシーンを見つめた。