お隣さんの隣
最初は大人しく聞いてくれていた夏希ちゃんも、燕君が先生になった話のくだりに入ってから顔が険しくなっていった。
『で、今は先生って呼ばされてんの!?』
「呼ばされてるっていうか……まぁ…うん…」
そんなに強制的ではないけれど。
『何ごっこよ…それ…』
「ごっこじゃないよっ、ちゃんと教えてくれてるんだからっ」
結構みっちりなんだよこれが。
この前なんて、5円チョコ片手に、燕君が私に微笑んで、
『食べたいですか?』
って言ってくるから
「うんっ!」
って大きい返事をしたのに
『この問題解けたらあげますね』
って問題を差し出されたんだよ!?
5円チョコだよ、5円チョコ!
『一種の焦らしプレイじゃない?』
「言い方がイヤらしいだけでしょっ」
夏希ちゃんの変態。
燕君を何キャラだと思ってんのよ。
確かに意地悪ではあるけど…。
『…と、冗談はさておき。
なんでそんな頭のいい子が佐奈に家庭教師を頼んだんだろ』
冗談かいっ!という私のツッコミをよそに、夏希ちゃんは、う〜んと唸りながら首を傾げた。