お隣さんの隣
“燕君が自転車で来た意味”?
…って只の交通手段じゃないの?
歩きよりは早いわけだし。
私が困惑する様子を見てしびれを切らした燕君がため息を一つついてからこちらに歩いてきた。
『ほんと馬鹿ですね』
私をけなした後、燕君は私の隣でピタリと止まった。
『こういうことですよ』
「えっ?」
目の前の燕君はポンポンと自転車の荷台を叩いていて。
…つまり………。乗れ、ってことだよね…。
流石に分かる。
そこまで馬鹿じゃない。
でも…………。
「無理無理無理っ!」
そ、そんな男の子の後ろとか乗ったことないし、二人乗りってことは前の人の裾掴んだり、取りあえず触れないといけないワケ……、絶対不可能っ!
私は必死に顔の前で大きくバッテンマークをつくった。