お隣さんの隣
会ってどうしたらいい?
どういう顔すればいい?
燕君はどうするの?
どういう顔するの?
全然分からない。
「ん……?」
門に近づくに連れて、凄く小さくだけど女の子達の少し高めの声が聞こえてきた。
その子達の視線を集めるのは、何処かで見たことある、うちの学校じゃない制服を身にまとう男の子。
まさか………
「つっ燕君!?」
視線を集める男の子は見間違うわけもない、今の私の悩みの種を生み出す張本人、お隣さんであり年下なのに家庭教師でもある、坂口燕君。
で、なんでいんの!?
迎えに来るのは恒例なの?
聞いてないよ!
昨日だけだと思ってたのに。
「―ッッい、行くよっ」
すぐさま燕君に駆け寄って、とにかく門を離れようと早々と歩きだした。
『佐奈、待って下さいっ、何をそんなに必死になってるんですか?』
ずんすんと早歩きで前へ進む私を燕君が自転車を支えながらついてくる。
そんな燕君に私は、急に立ち止まって振り返った。
「必死になるに決まってるでしょ?
私は普通なのっ、目立ち慣れてないの!騒ぎの中心にいるのは苦手なの!」
騒ぎの中心なのは燕君だけど、あながち間違いでもないはず。