お隣さんの隣
『俺は佐奈の“普通”、好きですよ』
「っっ何言って……!」
思いの他私の足は速かったみたいで、門から結構離れてたからよかったものの、すす好きとか………好きとかっ好きとか!
さらっとゆうなぁ!!
「……ってさらっと普通って認めないでよっ!」
危ない、危うく聞き逃すところだった。
自分で言うのはいいけど人に言われるのは嫌だよ、そりゃ。
『普通というのは案外難しいものです』
「…そうなの?」
『そうです。
ですけど難しいことが良いこととは限りませんよ』
「…………」
ってことは結局どういうこと?
「頭の良い人の言うことって分かりにくい」
『それは佐奈が馬鹿なんです』
「馬鹿じゃないっ!」
なんだ、意外と普通に話せてるじゃない。
燕君だっていつも通りだし。