お隣さんの隣



ほんの一瞬、脳裏を過った燕君の、あの表情。



でもそれは一瞬で姿を消した。









『くだらないこと言ってないで早く後ろに乗って下さい』


くだらないことって…燕君が言い出したのに…!


しかも結局また後ろ乗るの!?




『ちゃんと最初から掴まっといてくださいね。
また引っ張られてはたまりませんから』


「言われなくても、分かってるよ!」


『はいはい、乗りましたね、じゃあ出発しますよ〜』




なんか上手く乗せられた気が…。






「なんか燕君てズルいよね」


『へ?何か言いました?』




聞こえなかったんだったらそれでいい。

とにかく燕君はズルい。

言葉の裏には何かが隠されていそうなのにそれは私にはまるで分からなくて、燕君ばっかり全部分かってるみたいで。




『…………』



私がそんなことを考えている間、燕君は一言もはっさなかった。



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