お隣さんの隣
「ねぇ、さっきの…」
『ん?さっきの問題が分かんないんですか?』
「えっ、違…」
さっきの燕君は恐かったからあんましそうはなってほしくはないんだけど、気になる。
『何度も説明したじゃないですかここは―』
だから話をふるんだけど、燕君は知ってか知らずか、その話題には触れない。
私も触れたらだめなのかな?
でも、気になるの。
恐いと思うのに、ドキドキしてしまった理由を。
「お邪魔しました」
結局その話にはならないまま、今日の勉強は終わってしまった。
「じゃあね、燕君」
『送ります』
靴を履いて手を振ったら、燕君も後を追うように靴を履いた。
「いいよっ、10秒あれば着くし」
『いいですから』
そう言って、背中を押される。
本当に必要ないのになぁ…。
とか考えてたら既に玄関の前。
「それじゃあ…」
『はい、お休みなさい』
この距離をわざわざ送るんだから何か言うことがあるのかと思ったらそうでもなかったみたいで、燕君はあっさり帰っていった。