お隣さんの隣


目にもとまらぬ早業で用意を済ませたおかげで、映画には間に合った。





『いやぁ〜、あのラスト良かったねぇ!』


鬼の形相だった夏希ちゃんも何処へやら。
映画が終わり、買い物もして何だかんだで私の家で夜ご飯を食べることになって、帰り道。
その映画が相当夏希ちゃん的ヒットだったらしくて感想をいいながら終始笑顔を振りまいてる。





「確かに良かった。良かったけどね…」



“夏希ちゃん”的ヒット


と言ったのにはしっかり理由が。



「あんな甘い映画!菜月君と行けばいいじゃない!」


見に行ったのは、今大ヒットを記録しているとかいう、純愛映画。



『嫌よっ!なんで菜月と行かなきゃならないのよっ!!』


なんでって…、彼氏じゃん。



「まさか夏希ちゃん…恥ずかしいの?」


『…んなわけっっ!』



夏希ちゃんたらベタベタなラブストーリー大好きなのに菜月君の前だとあんな冷たくなるなんて……






私より絶対………




「意地っ張り」


『なんか言った!?』


「…夏希ちゃんは可愛いねぇ〜、って言ったのっ」



寝坊したうえにそんなこと言ったら絞め殺されちゃう。



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