お隣さんの隣



『あれが例の年下ボーイの家?』

「うん」



家の前に着いた時、夏希ちゃんが燕君の家を指差してそう言った。


『年下君もすぐ隣に好きな子がいたらたまんないだろうなぁ…』



たまんないって……。
何想像してんだか…。





「それがさぁ…本当に好きなのかとか考えちゃってさぁ。
どんどん考えてたらあれは作戦でね…」


『何の作戦?わけ分かんない』


夏希ちゃんは首を傾げる。










「だからぁ、からかってんのかなって思って」












―ジャリ





「?」



靴とコンクリートが擦れる音がして、振り向けばそこには人影があって。
胸がドキン、とした気がした。






「…つ……燕君?」





そこにいたのはなんと燕君で。






「……」


微妙な空気。



只つったっている燕君は何も発さない。








やっと口を開いたかと思えば、酷く落ち着いた声でこう言った。





『佐奈は真剣に俺がからかってるんだと思ってるんですか?』





< 58 / 113 >

この作品をシェア

pagetop