お隣さんの隣
『あれが例の年下ボーイの家?』
「うん」
家の前に着いた時、夏希ちゃんが燕君の家を指差してそう言った。
『年下君もすぐ隣に好きな子がいたらたまんないだろうなぁ…』
たまんないって……。
何想像してんだか…。
「それがさぁ…本当に好きなのかとか考えちゃってさぁ。
どんどん考えてたらあれは作戦でね…」
『何の作戦?わけ分かんない』
夏希ちゃんは首を傾げる。
「だからぁ、からかってんのかなって思って」
―ジャリ
「?」
靴とコンクリートが擦れる音がして、振り向けばそこには人影があって。
胸がドキン、とした気がした。
「…つ……燕君?」
そこにいたのはなんと燕君で。
「……」
微妙な空気。
只つったっている燕君は何も発さない。
やっと口を開いたかと思えば、酷く落ち着いた声でこう言った。
『佐奈は真剣に俺がからかってるんだと思ってるんですか?』