お隣さんの隣
夏樹ちゃん、驚くと思ったのに。
私の言葉になんのリアクションもなく、分かってると言わんばかりの微笑みをうかべている。
「私が一世一代の告白してるのにさぁ」
『相手が違うじゃない』
でも私にとったらもの凄い一歩なのに!
でもその一歩は凄いのと同時に悲しい一歩でもあるんだ。
「もう遅いよね…。
だって燕君、残念だ。って…」
今になって気付いたって遅いんだ。
燕君私のこと嫌になったかもしれない。
『佐奈はまだ落ち込んでいいほど行動してないのよ』
「夏樹ちゃん…」
そうだ。私はまだ何もしてない。
落ち込む資格さえないんだ。
「夏樹ちゃん!」
『何?』
「学校って休んでいい時だってあるよね!?」
『一大事だったらね』
これは紛れもなく一大事だ。
私にとって今一番優先したいこと。
「私行って来る!!」
走りだしてしまった。
もう止まれない。
自分の中にあった、知らない間に大きくなってた気持ちに気付いてしまったから。
全力で向かうんだ。
燕君のもとへ。