お隣さんの隣
「ハァ…着いた…」
燕君の中学の前まで着いた時には多少流血していた膝の血も、渇いてしまっていた。
「よしっ」
後は乗り込むだけなんだけど、燕君って何組なんだろ…。
「確か…」
記憶を辿る。
確か前数学のテキストに3年2組って書いてあったっけ。
そうと分かれば、また走りだした。
先生に見つからないように、階段を全速力でのぼって。
初めて来た学校だったけど、教室のプレートを見て何とか3年生の階に辿り着いた。
その時にはもう息切れは半端なくて、足だって疲れていた。
体力の限界。
でも此処まで来てしまったら後はもう勢いだ。
自分がこんなに行動できる子だなんて知らなかった。
教室からは先生らしき声が聞こえる。
授業中らしい。
ドキ、ドキと緊張が心臓を波打つ。
授業中に、しかも他校生なのに教室に乗り込む緊張と、走ってきたからそのせいもあるだろう。
そして何より今から燕君に想いを伝えることの緊張。
でも落ち着かせるための深呼吸はしない。
勢いがなくなりそうだから。
――ガラガラッ
遂に教室のドアを開けた。