お隣さんの隣
「坂口燕君いますかっ!?」
シーンと静まり返る教室。
視線がザクザク刺さる。
先生もビックリしてる見たいで固まっている。
『佐奈…?』
皆の視線は声のほうに集まる。
燕君だ…。
『何…やってるんですか…?』
燕君もかなり驚いてる様子で、ゆっくりと立ち上がったまま私をジッと見つめている。
「あの…あのね…」
『おい君っ!』
放心状態から立ち直った先生がやっと異変に気付いたみたいで、ギロリと私を睨む。
『ここの生徒じゃないじゃないかっ!』
制服を見てハッとする先生。
『職員室に来なさいっ』
え…ヤバ…
そう思ってる間にも先生はずんずん近づいてきて、連れてかれる!
って思った瞬間。
『俺なんか忘れ物でもした?
お姉ちゃん』
聞こえてきたのは燕君の声。
って………お姉ちゃんって私!?
『先生、それ俺の姉です』
「ちっ『なっ?』
思わず“違います”って言い掛ける私の言葉を遮って、同意を求める燕君。
目が、『合わせて』と言ってるのが分かって。
「はいっ、あの、燕くっ……燕鍵忘れてたから…家入れないかなって…はい、これ…」