お隣さんの隣




「燕君、顔見せて」


未だ強気な私。




でもすぐに気付くべきだった。
こういう場合は夏樹ちゃんの時だって、最後には大逆転されるんだ。

























『さっき言ったこと…本当ですか?』





腕を引っ張られて顔が息がかかるくらい近い。


















「本当…だよ」

私は照れてしまって、まんまと大逆転成立。
















『佐奈……』

愛しそうに名前を呼ばれる。





















「呆れて…ない?」


『え?』




「私のこと…残念だ、って」










燕君の気持ちが分かった。

私も真剣に想いを伝えたから。



もしこれでからかってるだとか何とか言われたら悲しくもなるし呆れたくもなる。













『確かに昨日は呆れていました。



でもこうやって、膝から血を出してまで伝えに来てくれた佐奈を見たら、そんなこと吹っ飛びました』




しゃがんで膝を見る燕君。



優しく優しく、傷に触れる。









そう言ってくれる事が嬉しくって、愛しく感じた。





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