お隣さんの隣
『佐奈、こんなのも分からないんですか?』
数学の小テストを見ながら唸る燕君。
今日はいつもの授業とは違って、私の小テストの復習をすることになった。
『困ったものです』
そう言って眼鏡をクイッと上げる燕君。
そう、なんと、今日は、
燕君が眼鏡をかけてるんです。
「似合うなぁ…」
チラッと見ながらぼやいてしまった。
『はぃ?』
「いやっ、なんでもありません!」
『まさか…関係ないこと考えてたんじゃないですよね?』
「めめめ滅相もございませんっっ」
私めちゃくちゃ怪しい!
もっと上手に嘘つけないもんかね。
でも、斜め上後ろの視線に何だか凄く緊張してしまうんだ。
全部見透かされてる気がして。
『……勉強しましょうか』
だって、こんなふうに笑うんだもん。