お隣さんの隣
「サイン コサイン タンジェントォォオ」
『佐奈、恐いです』
私苦手なんだよなぁ。
これ。
夏樹ちゃんは
簡単じゃないっ
て馬鹿にするんだけど、私には無理です…。
なんかね、頭ん中でぐちゃぐちゃーっ!ってなっちゃってさ。
『はい、頭を掻き毟らない』
「うぅ…」
『落ち着いたら分かりますよ、ね?』
ね?
とか間近で言われたら落ち着けません。
『それとも何かご褒美があった方がいいですかね…』
「ご褒美?何何っ?」
“ご褒美”って聞いて喜ばないわけはない。
『俺だったら…キスがほしいですね』
「んぎゃ!?」
あの…私はてっきり燕君のことだから5円チョコとか言いだすのかなぁとか思ってたのに。
『俺だったら…と言ったんですけど…。
顔、赤いですよ?』
クスクス笑う燕君に追い詰められて。
絶対確信犯だと確信した。
「ま、またそうやってからかって…」