DEATH GAME
「よっすー!
お前ら今日は学校来んのはえーのな」


「……大地!」


あたし達は、教室の入り口付近で手を振りながら言葉を発している大地の方を一斉に見た。



「大地こそ!
今日は学校来んの遅かったじゃん!いつもは早いのに……
何かあったの?」


そしてあたしを含めた七人の中で一番始めに大地の方に駆け寄って行ったのはあいら。

噂によるとあいらは、イケメンな大地の事が好きらしい……
最も、あいらは人の好き嫌いがハッキリしていて分かりやすい子だから、噂なんか無くても、あたし達はあいらの気持ちに気付けていただろうけど……


どうやらあいらは、他のグループの子達からはあまりよく思われていないらしい。






――そう。
あいらの恋は所詮、報われない恋。


あいらの想い人の大地は、結衣と付き合っているのだから……





だからあいらの事が嫌いな他のグループの子達は、あいらのこの状況を面白がって、わざと『あいらの好きな人は大地』という極めて嘘の無い噂をクラス中に流したのだ。




……まったく、ひどいものだ。




あたしは、頬を軽く赤らめ大地と一生懸命に話しているあいらの姿を眺めながら、短い溜め息をついた。



あいらはまだ知らない。

自分の恋心を他人に噂されている事も、
大地と結衣が付き合っているという事も。




大地と結衣は、あいらの恋心を知ってしまった時、言っていた。


『時期を見て、あいらに本当の事を話す』


……それが正しい判断だったのか……正直、その時のあたしには分からなかった。



ただ一つ、確かなのは、あいらがこの上なく哀れだったという事。





もう少し、あたし達は考えてあげるべきだったのかもしれない。
友人として、どうすればあいらが一番傷つかずに済むのか……




そうすれば、あんなにも悲惨な悲劇は、食い止められたのかもしれない。





今となって言える事は、ただそれだけ……
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