ラストメッセージ
第十一章 小さな結婚式
翌日、俺は二日酔いでひどい頭痛に襲われ、なかなか起き上がることができなかった。
だけど、美乃には朝から病院に行くと言った手前、閉じようとする目を必死に開いて重い体を起こした。
日課のランニングは体調を考慮していつもよりも短めに終わらせ、身支度を整えてから急いで病院に向かった。
自分の吐く息の白さが、冬になったことを教えてくれる。
ハロウィンも過ぎた今、街に並ぶ店のショーケースにはクリスマス用品が飾られるようになっていた。
こんな景色を見ると、去年のクリスマスイヴを思い出してしまう。
「早いもんだな、一年って」
苦笑混じりに呟いた言葉が、雑踏の中に消えていく。
もうすぐ、彼女と出会って一年が経とうとしていた。
「いっちゃん……」
「そのままでいいよ」
いつものようにノックをしてから病室に入ると、美乃はベッドに横になったまま力なく微笑んだ。
起き上がろうとした彼女を笑顔で制し、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。
「ごめんね……」
「バカ、そんなこと気にするな。それより顔色が悪いな……。熱は?」
「昨日は平気だったんだけど、今朝からちょっと気分が悪くて……。今は微熱気味なの……」
「そうか……。朝飯はちゃんと食えたか?」
「ううん、ほとんど残しちゃった……。今日は点滴ばっかりみたい……」
美乃は、点滴の針が刺された自分の左手を悲しそうに見た。
その腕には無数の針を刺した痕跡があり、ところどころに青い痣ができている。
それは、今までに数え切れないほどの点滴と採血をしてきたことを、どんな言葉よりも雄弁に物語っている。
痛々しい腕を見ながら、彼女の髪にそっと触れた。
だけど、美乃には朝から病院に行くと言った手前、閉じようとする目を必死に開いて重い体を起こした。
日課のランニングは体調を考慮していつもよりも短めに終わらせ、身支度を整えてから急いで病院に向かった。
自分の吐く息の白さが、冬になったことを教えてくれる。
ハロウィンも過ぎた今、街に並ぶ店のショーケースにはクリスマス用品が飾られるようになっていた。
こんな景色を見ると、去年のクリスマスイヴを思い出してしまう。
「早いもんだな、一年って」
苦笑混じりに呟いた言葉が、雑踏の中に消えていく。
もうすぐ、彼女と出会って一年が経とうとしていた。
「いっちゃん……」
「そのままでいいよ」
いつものようにノックをしてから病室に入ると、美乃はベッドに横になったまま力なく微笑んだ。
起き上がろうとした彼女を笑顔で制し、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。
「ごめんね……」
「バカ、そんなこと気にするな。それより顔色が悪いな……。熱は?」
「昨日は平気だったんだけど、今朝からちょっと気分が悪くて……。今は微熱気味なの……」
「そうか……。朝飯はちゃんと食えたか?」
「ううん、ほとんど残しちゃった……。今日は点滴ばっかりみたい……」
美乃は、点滴の針が刺された自分の左手を悲しそうに見た。
その腕には無数の針を刺した痕跡があり、ところどころに青い痣ができている。
それは、今までに数え切れないほどの点滴と採血をしてきたことを、どんな言葉よりも雄弁に物語っている。
痛々しい腕を見ながら、彼女の髪にそっと触れた。