ラストメッセージ
第二章 友達の妹
あのイヴの日から、仕事帰りや休日を利用して、たまに三〇五号室に足を運ぶようになった。
時にはお見舞いにお菓子や雑誌を買っていくと、美乃は『なにもいらないのに』と言いながらもその度に喜んで受け取ってくれ、俺はそんな彼女のことを自分の妹のように可愛がっていた。
少しずつ暖かくなって、季節はもうすぐ春になる頃、俺と美乃が出会ってから三ヶ月が過ぎようとしていた。
二回目に会った時から美乃のことを呼び捨てにしていたけれど、彼女は俺の中では恋愛対象外だった。
それは、お互いの性格的なことや俺の好みの問題ではなく、きっと俺たちふたりの距離があまりにもすぐに近くなり過ぎたせいだろう。
美乃は、少しだけ変わっていた。
初対面の時から変わった女だとは思っていたけれど、彼女の笑顔と屈託のない明るさからは、まるで病人とは思えないほどの楽しそうな人生を感じさせた。
背中の下まで伸びた黒髪と、白くてきめ細かい肌。
奥二重の瞳と、少しだけ長い睫毛。
見た目は繊細な感じだけれど、性格はそれに反して気が強く、芯も強かった。
美乃と話しているうちに、適当な理論も多いと気づいた。
俺が彼女の適当論を聞いて突っ込む度に、冗談半分の言い合いをしてはよくふたりで笑い合った。
そんなくだらない時間が無性に楽しくて、俺は自然と病院に行く回数が増えていった。
時にはお見舞いにお菓子や雑誌を買っていくと、美乃は『なにもいらないのに』と言いながらもその度に喜んで受け取ってくれ、俺はそんな彼女のことを自分の妹のように可愛がっていた。
少しずつ暖かくなって、季節はもうすぐ春になる頃、俺と美乃が出会ってから三ヶ月が過ぎようとしていた。
二回目に会った時から美乃のことを呼び捨てにしていたけれど、彼女は俺の中では恋愛対象外だった。
それは、お互いの性格的なことや俺の好みの問題ではなく、きっと俺たちふたりの距離があまりにもすぐに近くなり過ぎたせいだろう。
美乃は、少しだけ変わっていた。
初対面の時から変わった女だとは思っていたけれど、彼女の笑顔と屈託のない明るさからは、まるで病人とは思えないほどの楽しそうな人生を感じさせた。
背中の下まで伸びた黒髪と、白くてきめ細かい肌。
奥二重の瞳と、少しだけ長い睫毛。
見た目は繊細な感じだけれど、性格はそれに反して気が強く、芯も強かった。
美乃と話しているうちに、適当な理論も多いと気づいた。
俺が彼女の適当論を聞いて突っ込む度に、冗談半分の言い合いをしてはよくふたりで笑い合った。
そんなくだらない時間が無性に楽しくて、俺は自然と病院に行く回数が増えていった。