ラストメッセージ
第一章 クリスマスイヴ
アラームがうるさい。
もうすぐ春だというのにまだまだ肌寒くて、布団から出るのがきつい。
朝は苦手じゃないけれど、今日はいつもよりも体がだるかった。
それでも、日課がある。
俺は気合いを入れて布団から出たあと、冷たい水で顔を洗って重い瞼を必死にこじ開け、動きやすい服に着替える。
いつものように朝食も食べずに家を出ると、冷たい風が頬に触れて一気に目が覚めた。
俺の日課は毎朝のランニングで、距離は適当だけれど、だいたい二〜三キロは走っている。
朝の景色が好きで、高校の時から走り始めた。
だけど……最近は、少しだけ変わった。
どこを見ても、色のない世界。
好きだったランニングも、今は音のない街を走るだけのつまらない日課になっている。
それでも俺が毎朝走るのは、もうなにひとつ変えたくないからなのかもしれない。
家に帰ってシャワーを浴び、またベッドに寝転んだ。
今日は日曜日だから仕事は休みで、なにもすることがなくてぼんやりと天井を見つめていたけれど、なんだかむなしくてすぐに目を閉じた。
すると、いつものように瞼の裏に映るのは、笑顔の女。
「またかよ、美乃(よしの)……」
美乃は、いい加減だった俺が初めて本気で愛した女だ――。
もうすぐ春だというのにまだまだ肌寒くて、布団から出るのがきつい。
朝は苦手じゃないけれど、今日はいつもよりも体がだるかった。
それでも、日課がある。
俺は気合いを入れて布団から出たあと、冷たい水で顔を洗って重い瞼を必死にこじ開け、動きやすい服に着替える。
いつものように朝食も食べずに家を出ると、冷たい風が頬に触れて一気に目が覚めた。
俺の日課は毎朝のランニングで、距離は適当だけれど、だいたい二〜三キロは走っている。
朝の景色が好きで、高校の時から走り始めた。
だけど……最近は、少しだけ変わった。
どこを見ても、色のない世界。
好きだったランニングも、今は音のない街を走るだけのつまらない日課になっている。
それでも俺が毎朝走るのは、もうなにひとつ変えたくないからなのかもしれない。
家に帰ってシャワーを浴び、またベッドに寝転んだ。
今日は日曜日だから仕事は休みで、なにもすることがなくてぼんやりと天井を見つめていたけれど、なんだかむなしくてすぐに目を閉じた。
すると、いつものように瞼の裏に映るのは、笑顔の女。
「またかよ、美乃(よしの)……」
美乃は、いい加減だった俺が初めて本気で愛した女だ――。