ラストメッセージ
第三章 同情と愛情
本格的に暑さが増してきた頃、俺は今までよりもさらに必死に仕事に打ち込むようになっていた。
家と職場を往復するだけの生活に虚しさを感じたこともあったけれど、疲れて帰るとすぐに眠れたし、そんな感情はまたすぐに忘れてひたすら仕事に打ち込めた。
だけど……。
『じゃあ、夏には肌が真っ黒に焼け焦げちゃうね!』
真っ黒に日焼けした自分の顔や腕を見る度に、美乃の言葉が何度も何度も頭を過った。
これは罪悪感……? それとも同情か……?
病院に行くことは、義務じゃない。
それなのに、なぜか美乃のことが気になって、気がつけば彼女のことばかり考えていた。
特に今日みたいに仕事が休みの日は最悪で、悶々と過ごすことに苛立って気晴らしに出かけることにした。
外は予想以上に暑くて、すぐにじんわりと汗が滲む。
この暑さなのに人で溢れる街を欝陶しく感じて、なんとなくあのカフェに入った。
アイスコーヒーを頼み、クーラーの心地好い風を浴びながら外をボーッと眺めていた。
「……いっちゃん?」
不意に後ろから飛んできた声に、心臓が跳ね上がった。
俺のことをそう呼ぶのは、ひとりしかいない。
「あれ、染井じゃない?」
振り向けずにいると続けて呼ばれ、平静を装いながら振り返った。
「広瀬……」
「ラッキー! 相席させてよ!」
まだなにも言っていないのに広瀬は俺の前に座り、美乃にも座るように促した。
家と職場を往復するだけの生活に虚しさを感じたこともあったけれど、疲れて帰るとすぐに眠れたし、そんな感情はまたすぐに忘れてひたすら仕事に打ち込めた。
だけど……。
『じゃあ、夏には肌が真っ黒に焼け焦げちゃうね!』
真っ黒に日焼けした自分の顔や腕を見る度に、美乃の言葉が何度も何度も頭を過った。
これは罪悪感……? それとも同情か……?
病院に行くことは、義務じゃない。
それなのに、なぜか美乃のことが気になって、気がつけば彼女のことばかり考えていた。
特に今日みたいに仕事が休みの日は最悪で、悶々と過ごすことに苛立って気晴らしに出かけることにした。
外は予想以上に暑くて、すぐにじんわりと汗が滲む。
この暑さなのに人で溢れる街を欝陶しく感じて、なんとなくあのカフェに入った。
アイスコーヒーを頼み、クーラーの心地好い風を浴びながら外をボーッと眺めていた。
「……いっちゃん?」
不意に後ろから飛んできた声に、心臓が跳ね上がった。
俺のことをそう呼ぶのは、ひとりしかいない。
「あれ、染井じゃない?」
振り向けずにいると続けて呼ばれ、平静を装いながら振り返った。
「広瀬……」
「ラッキー! 相席させてよ!」
まだなにも言っていないのに広瀬は俺の前に座り、美乃にも座るように促した。