ラストメッセージ
第六章 願掛け
そのあとも、俺たちは水族館の中を手を繋ぎながら歩いた。
美乃は持って来たデジカメで、俺の写真を何枚も撮った。
「俺ばっかり撮るなよ……」
写真が苦手な俺は、ため息混じりに笑う。
カメラ目線のものはないけれど、俺だけ撮られるのは照れ臭いし、なによりもどうせならふたりで写りたい。
「せっかくだから、ふたりで撮ろう」
「でも……」
戸惑うように眉を下げた彼女からデジカメを取り、近くにいた人に頼んだ。
「いきますよー!」という声に合わせ、デジカメが光を放った。
お礼を言ってからデジカメの履歴を確認すると、小さな画面の中には水槽の前で俺の隣に立って優しく笑い掛ける美乃がいた。
別に写真なんて特別なことじゃないのに、すごく嬉しかった。
彼女に「これは絶対に消すなよ」と念を押し、ふと時計を見ると約束の時間が迫っていた。
俺たちは、そのまま待ち合わせ場所に向かった。
出口の少し手前にあるレストランに行って中に入ると、信二と広瀬は先に来ていた。
「ごめん、遅くなった!」
「いや、俺らも今来たとこだよ」
「楽しかった? 美乃ちゃん」
「うん! 魚になって海を泳いでるみたいだったよ!」
「美乃は魚じゃなくて、人魚だよな〜!」
「はぁ? アンタはまたバカなこと言って……」
「由加はサメだよな……」
「信二……。お望みなら、水槽の中に閉じ込めてあげようか?」
広瀬は、いつものように信二を睨んだ。
俺と美乃は、ふたりの痴話喧嘩を笑いながらを見ていた。
「あっ、薬飲まなきゃ!」
不意に彼女が薬を取り出し、それを順番に飲んでいった。
菊川先生との約束は、夕食までに病院に戻ること。
俺は時計を確認したあと、重い口をゆっくりと開いた。
美乃は持って来たデジカメで、俺の写真を何枚も撮った。
「俺ばっかり撮るなよ……」
写真が苦手な俺は、ため息混じりに笑う。
カメラ目線のものはないけれど、俺だけ撮られるのは照れ臭いし、なによりもどうせならふたりで写りたい。
「せっかくだから、ふたりで撮ろう」
「でも……」
戸惑うように眉を下げた彼女からデジカメを取り、近くにいた人に頼んだ。
「いきますよー!」という声に合わせ、デジカメが光を放った。
お礼を言ってからデジカメの履歴を確認すると、小さな画面の中には水槽の前で俺の隣に立って優しく笑い掛ける美乃がいた。
別に写真なんて特別なことじゃないのに、すごく嬉しかった。
彼女に「これは絶対に消すなよ」と念を押し、ふと時計を見ると約束の時間が迫っていた。
俺たちは、そのまま待ち合わせ場所に向かった。
出口の少し手前にあるレストランに行って中に入ると、信二と広瀬は先に来ていた。
「ごめん、遅くなった!」
「いや、俺らも今来たとこだよ」
「楽しかった? 美乃ちゃん」
「うん! 魚になって海を泳いでるみたいだったよ!」
「美乃は魚じゃなくて、人魚だよな〜!」
「はぁ? アンタはまたバカなこと言って……」
「由加はサメだよな……」
「信二……。お望みなら、水槽の中に閉じ込めてあげようか?」
広瀬は、いつものように信二を睨んだ。
俺と美乃は、ふたりの痴話喧嘩を笑いながらを見ていた。
「あっ、薬飲まなきゃ!」
不意に彼女が薬を取り出し、それを順番に飲んでいった。
菊川先生との約束は、夕食までに病院に戻ること。
俺は時計を確認したあと、重い口をゆっくりと開いた。