ラストメッセージ
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翌日、無事に美乃の外出許可をもらうことができた俺たちは、駅前のビルに来ていた。
いつものカフェを通過して、目的の場所に向かう。
このビル内にある店では、ウェディングドレス以外にもブーケや指輪等、結婚式に必要な物をすべて揃えることができる。
広瀬の希望で、指輪だけはあのジュエリーショップで用意するらしいけれど、他の物はここで揃えると聞いた。
既に下見に来ていたらしい広瀬は、親しいアドバイザーと次々と色々なことを決めていった。
最後に美乃と相談してドレスを選ぶと、広瀬が試着することになった。
「あれ、絶対可愛いよ!」
ウェディングドレスとなると、やっぱり時間が掛かるらしい。
広瀬はフィッティングルームに入ったきりなかなか出てこなかったけれど、美乃だけはずっと嬉しそうにしていた。
「お待たせー! どう?」
散々待たされた挙げ句、ようやくフィッティングルームから広瀬が出てきた。
真っ白なドレスに身を包む笑顔の広瀬はいつもと違った雰囲気で、思わずまじまじと彼女を見てしまう。
「きゃーっ! 由加さん、すっごく綺麗!」
「うん! それ、いいな!」
美乃と信二が、笑顔で賞賛の言葉を並べた。
「……で、そこにいる人はどう思うわけ?」
「ああ、うん……。まぁいいんじゃないか? 馬子にも衣装、って感じで」
「ちょっと、なにそれ!?」
俺の答えに、広瀬が不服そうに眉を寄せる。
「冗談だよ、似合ってるって」
「ふふっ、ありがとう」
「本当に綺麗だよ」
ドレスを着た広瀬を、美乃が羨ましそうに見つめている。
「ねぇ、美乃ちゃんもここでドレス選んだら? 普通のドレスもレンタルしてるんだって!」
「じゃあ、そうしようかな」
広瀬の提案で、美乃のドレスもここで探すことにした。