短編集
1.傘
【傘】
早く帰りたいのに私の足は昇降口で止まってしまう。
「なんで今日に限って」
落ち込んだ声は雨の音の中に消えていった。
どうしよっかな。
まだ小雨だし、走ってこうかな。
「藤倉?」
「えっ」
走り出そうとしてたから間抜けな声を出して振り返ってしまった。
「あー穂積くん」
「今帰り?遅いね」
確かに部活をやってない私が帰るには遅い時間。
そんなん言われる筋合いはないと思うけどねー。席が前後とはいえあんまし喋んないし。
「ちょっと先生の手伝いしてて。穂積くんこそ確かバスケ部、だったよね?もう終わったんだ」
思ってることは言わずに当たり障りないことを言う。バスケ部期待の新人らしい穂積くんが部活があるのに帰るわけないだろうし。
そんな私の考えがわかったのか苦笑しながら言った。
「顧問の事情で終わるの早かったんだ」
「ふぅん、部活お疲れさま。じゃあ私は帰るね」
「ちょっと!!」
早く帰りたいのに私の足は昇降口で止まってしまう。
「なんで今日に限って」
落ち込んだ声は雨の音の中に消えていった。
どうしよっかな。
まだ小雨だし、走ってこうかな。
「藤倉?」
「えっ」
走り出そうとしてたから間抜けな声を出して振り返ってしまった。
「あー穂積くん」
「今帰り?遅いね」
確かに部活をやってない私が帰るには遅い時間。
そんなん言われる筋合いはないと思うけどねー。席が前後とはいえあんまし喋んないし。
「ちょっと先生の手伝いしてて。穂積くんこそ確かバスケ部、だったよね?もう終わったんだ」
思ってることは言わずに当たり障りないことを言う。バスケ部期待の新人らしい穂積くんが部活があるのに帰るわけないだろうし。
そんな私の考えがわかったのか苦笑しながら言った。
「顧問の事情で終わるの早かったんだ」
「ふぅん、部活お疲れさま。じゃあ私は帰るね」
「ちょっと!!」