短編集
4.ピアノ
最近できた私のお気に入りの場所。
放課後、第1音楽室の窓下。
たまたま知ってからは毎日ここに来てピアノを聞いてから帰る。
後から知ったけど、弾いているのは同じクラスの高坂だった。
いつも見ている高坂と繊細な音のピアノとは結びつきずらかったけど、私はこのピアノ好き。
教室で話すこともないし、聞かれていることを高坂は知らない。それを思うと少しだけ罪悪感が生まれる。
でも、高坂を囲む輪のなかには入りずらいし、ピアノが聞けなくなるのも嫌だ。
ずるずる続く今の状況。
もう少し、勇気が持てたときに。
そう自分に言い訳して今日もまた、私が好きな悲愴が流れるのを待つ。